和歌山市感染症情報センター

Wakayama City Infectious Disease Surveilance Center
エボラ出血熱
エボラ出血熱を正しく知りましょう
 2014年から、西アフリカを中心に感染が拡大しているエボラ出血熱。
 世界の関心が高まっていく一方、中には、エボラ出血熱に関する誤解や間違った情報が見受けられます。「エボラ出血熱とは一体どのような病気なのか?どのようにヒトに感染するのか?」といったエボラ出血熱の基本的な情報について、知識を持ち、しっかりした対策を行うことで感染を防ぐことができます。正しく知って適切な行動をとりましょう。
エボラ出血熱 どのような病気?
 エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症です。エボラウイルスに感染すると、2〜21日(通常は7〜10日)の潜伏期の後、突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈します。次いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れます。
 現在、エボラ出血熱に対するワクチンや特異的な治療法はないため、患者の症状に応じた治療(対症療法)を行うことになります。
どのようにして感染するの?
 エボラウイルスに感染し、症状が出ている患者の体液等(血液、分泌物、吐物・排泄物)や患者の体液等に汚染された物質(注射針など)に十分な防護なしに触れた際、ウイルスが傷口や粘膜から侵入することで感染します。一般的に、症状のない患者からは感染しません。空気感染もしません。
  また、流行地では、エボラウイルスに感染した野生動物(オオコウモリ(果実を餌とする大型のコウモリ)、サル、アンテロープ(ウシ科の動物)等)の死体やその生肉(ブッシュミート)に直接触れた人がエボラウイルスに感染することで、自然界から人間社会にエボラウイルスが持ち込まれていると考えられています。
 なお、WHO(世界保健機関)は、流行地でエボラ出血熱に感染するリスクが高い集団を、
  ・ 医療従事者
  ・ 患者の家族・近親者
  ・ 埋葬時の儀式の一環として遺体に直接触れる参列者
 としています。
 エボラ出血熱は、咳やくしゃみを介してヒトからヒトに感染するインフルエンザ等の疾患とは異なり、簡単にヒトからヒトに伝播する病気ではありません。病気に関する知識を持ち、しっかりした対策を行うことで感染を防ぐことができます。
エボラ出血熱はどこで発生していますか?
 1970年代以降、中央アフリカ諸国(コンゴ民主共和国、スーダン、コンゴ共和国、ウガンダ、ガボン等)で、しばしば流行が確認されています。現在は、西アフリカでの流行、アフリカ大陸以外(スペイン、米国)での発生が確認されています。
 2014年以降、西アフリカ(ギニア・シエラレオネ・リベリア)で感染が拡大、アフリカ大陸以外(スペイン、米国)での発生が確認されました。
 その後、2015年5月にリベリア、11月にシエラオネ、12月にギニアで終息宣言が発表され最も感染が拡大した3か国すべてにおいて終息宣言が発表されました。(平成27年12月29日現在)

 なお、流行状況に関する最新の情報は、厚生労働省検疫所(FORTH)で確認できます。

日本での対策は?
 万一、発生国からの帰国者でエボラウイルスへの感染が疑われる方がいた場合、国立感染症研究所で迅速に検査を行い、感染の有無を確認する体制が整備されています。検査の結果、感染していることが明らかになれば、患者は感染症指定医療機関に移送され、感染防御対策の施された病室において適切な医療が公費により提供されることになります。
 エボラ出血熱は、インフルエンザなどとは異なり、主として患者に直接接触することにより感染すること流行地域はアフリカに限定されていることから、現時点では国内で発生するリスクは低いと考えられます。しかしながら、すでに欧米諸国でみられたとおり、国内で患者が発生する可能性はゼロではなく、国内での発生に備えて体制が整えられています。
アフリカの発生国を旅行しても安全?
 西アフリカでのエボラ出血熱の終息を踏まえ、外務省では、2014年8月8日以降発出を継続してきた感染症危険情報を取り下げました。一方で、リベリアでも終息宣言後、二度に亘ってエボラ出血熱感染の再発性が報告されているほかエボラ出血の流行に3か国の医療体制は弱体化しており、これらの国への渡航及び滞在には引き続き十分な注意が必要です。(2015年12月30日現在)
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