■百日せき
百日せき菌の飛沫感染で起こります。患者数は減少してきていますが、最近、長引くせきを特徴とする学童から思春期、成人の百日せきがみられ、乳幼児への感染源となり重症化する例がありますので注意が必要です。
典型的な百日せきは、普通のかぜのような症状で始まり、続いてせきがひどくなり、顔をまっ赤にして連続的にせき込むようになります。乳幼児はせきで呼吸ができず、唇が青くなったり、けいれんが起きるあるいは突然呼吸がとまってしまうことなどがあります。肺炎や脳症などの重い合併症を起こしやすく、新生児や乳児では命を落とすこともあります。
■ジフテリア
ジフテリア菌の飛沫感染で起こります。現在、国内の患者発生数は年間0が続いていますが、アジア地域では、時折流行的発生がみられています。
感染しても10%程度の人に症状が出るだけで、残りの人は保菌者となり、その人を通じて感染することもあります。症状は高熱、のどの痛み、犬吠様のせき、嘔吐などで、偽膜と呼ばれる膜ができて窒息死することもあります。発病2〜3週間後には菌の出す毒素によって心筋障害や神経麻痺を起こすことがあります。
■破傷風
破傷風菌はヒトからヒトへ感染するのではなく、土の中などにいる菌が、傷口からヒトの体内に入ることによって感染します。菌が体の中で増えると、菌の出す毒素のために、筋肉のけいれんを起こします。最初は口が開かなくなるなどの症状で気付かれ、やがて全身のけいれんを起こすようになり、治療が遅れると死に至ることもある病気です。土中に菌がいるため、感染する機会は常にあります。
■ポリオ(急性灰白隨炎)
小児まひとも呼ばれ、国内では1960年代前半までは流行を繰り返していました。予防接種の効果により、国内では、現在、野生株ポリオによる麻痺患者の発生はありません。
感染したヒトの便中に排泄されたポリオウイルスは、他のヒトの口に入り感染することで抵抗力(免疫)を持っていないヒトの腸内で増殖し、ヒトからヒトへ感染します。感染しても、ほとんどの場合は症状がでず、一生抵抗力(終生免疫)が得られます。ポリオウイルスに感染すると、100人中5〜10人は、かぜのような症状があり、発熱を認め、続いて頭痛、嘔吐があらわれます。
また、感染した人の中で、約1000人〜2000人に1人の割合で手足の麻痺をおこします。一部の人には、その麻痺が永久に残ります。麻痺症状が進行し、呼吸困難で死亡することもあります。
■ヒブ(Hib)感染症
ヒブ感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌によって発生する病気で、そのほとんどが5歳未満で発生し、特に乳幼児で注意が必要です。
主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常生活を送っている子どもも多くいますが、この菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎等の重篤な疾患を引き起こすことがあります。
ヒブによる髄膜炎は、予後不良になる場合が多く、致命率は約5%、てんかん、難聴、発育障害などの後遺症が約25%に残ります。初期症状は発熱、嘔吐、けいれん等です。