例年、ノロウイルスによる食中毒は冬期に多く、年間食中毒患者数の約5割を占めているため、食中毒予防の観点から重要な問題となっています。
今年も1月以降も多発しており、患者数が千人を超える事件も発生しています。
ノロウイルス食中毒の特徴を知ろう
ノロウイルス食中毒は、ノロウイルスが汚染した食品や水を摂取することにより起こります。
その汚染経路として、もともとノロウイルスに汚染された食品(カキ等の二枚貝等)や飲料水を生または加熱不十分の状態で摂取する場合、もう一つは調理中に調理従事者の手指等を介して食品などを汚染しそれを摂取する場合です。
カキ等の二枚貝を原因とする事例もみられますが、発生原因の多くは後者の調理従事者を介した発生となっています。
ノロウイルス食中毒を防止するためには、調理従事者自らがノロウイルスに感染しない、ノロウイルスを他人にうつさない、調理環境や食品などに拡げない、つけないといった、感染症対策を基本とした食中毒対策を行う必要があります。
感染性胃腸炎の発生動向も知ろう 感染性胃腸炎は、ノロウイルス等を原因とする腹痛、嘔吐、下痢症状を呈する感染症をいいます。ノロウイルス食中毒は、この感染性胃腸炎の発生動向とほとんど一致しています。そのため、感染性胃腸炎の発生動向を把握し、それに合わせてノロウイルス食中毒対策を強化することは非常に大切です。
市内の感染性胃腸炎(五類感染症(定点把握))発生動向
ノロウイルス食中毒予防の4原則「持ち込まない」「拡げない」「加熱する」「つけない」の4段階で対策しよう
ノロウイルスはごくわずかな汚染によって食中毒が起きてしまいます。そのため、調理従事者はもちろんのこと、調理器具、食器、調理環境など、調理施設全体をノロウイルスの汚染から守り、最終的にはノロウイルスを食品に「つけない」を確実に実行することがきわめて重要になります。
第1段階 ノロウイルスを施設に「持ち込まない」 食品取扱施設にノロウイルスが持ち込まれると、
それが食品につき食中毒となるリスクが高まってしまいます。
ノロウイルスを「持ち込まない」ためには、
〈従事者・関連業者の対策〉
・ノロウイルスに感染しない
・健康状態の把握・管理を個人および組織的に行う
・手洗いを励行する
・感染した場合は仕事を休む
〈利用者からの持ち込みを防ぐ〉
・利用者専用トイレの設置等の施設環境の改善
・利用者に対する注意喚起
が求められます。
ただし、不顕性感染者により気づかれないまま持ち込まれている場合もあるため、ノロウイルス食中毒予防の4原則を総合的に実践し、対策する必要があります。
■不顕性感染とは…
感染しているが、症状が出ない状態をいいます。不顕性感染者もふん便中にノロウイルスが排出される場合があるため、知らないうちにウイルスが手指に付着し食品等を汚染する可能性があります。
第2段階 ノロウイルスを施設で「拡げない」 万一、ノロウイルスが持ち込まれた場合、施設内でノロウイルスが拡がることにより、人や調理器具を介して食品が汚染される危険性が高くなるため、食中毒のリスクが高まります。
食品への二次汚染を防ぐために、
を行うことが重要です。
第3段階 ノロウイルスを「加熱」して死滅させる 食品や食材等の原材料がノロウイルスに汚染されている場合、「持ち込まない」「拡げない」対策をしても防げません。
対策としては、食品を加熱することが有効な方法です。
・中心の温度が85〜90℃の状態で90秒以上加熱。
第4階 ノロウイルスを食品に「つけない」 ウイルスを食品につけなければ食中毒にはなりません。しかし、第1・2・3段階の対策をしても、目に見えないウイルスを食品に「つけない」ようにすることは、大変難しいことです。
ウイルスは知らない間に手指等に付着し、そこからさまざまな経路から食品を汚染する可能性があります。
非加熱食品だけでなく、加熱後調理済み食品の汚染から食中毒となるケースも少なくありません。また、調理器具や調理環境、さらに配膳用食器を介し汚染する場合もあります。
多様な汚染経路の対策を油断することなく行い、ノロウイルスを食品につかないようにする。ノロウイルス食中毒を予防して、お客様の健康およびお店を守りましょう。
食品等事業者の衛生管理【厚生労働省】 ノロウイルス感染症対策はこちら(市民の方へ) ノロウイルス感染症対策はこちら(施設、学校の方へ)