細菌性赤痢は、赤痢菌を病原体とする腸管感染症です。
現在、日本で発生している細菌性赤痢のほとんどは国外での感染で、渡航中または帰国後発症し、診断されています。国内においては、国外で感染した人からの二次感染や、汚染された食品を食べることによる感染例が主で、この菌はごく少量でも感染を起こすため、健康被害が起こりやすく、集団感染や食中毒となる場合もあります。
最近の症例では、軽症で経過するとされていますが、小児や高齢者では重症例もあるため注意が必要です。
感染してから、1〜5日の潜伏期を経て、下痢、発熱、腹痛等が発症します。
特徴的な症状は、膿粘血便(膿や血液が混じった便)やしぶり腹(便意があるのに排便はない状態、テネスムスともいう)が伴います。
■汚染された食品からの感染
汚染された食べ物・生水・飲料水等を飲食することで、感染します。
渡航先での飲食や汚染された輸入食品等による感染なども考えられます。
■患者からの二次感染
患者の便中から菌が排出されるため、排便後の手指やトイレなどに菌が付いていた場合に、二次感染が起こります。手洗い不十分なまま調理した食べ物を食べたり、トイレのドアノブや水道ノブを介して接触することで菌が口から入り感染します。
赤痢菌は、熱に弱いため、感染予防策としては、十分な加熱調理や石けんによる手洗いの励行が基本となります。また、物品などの消毒には、ほとんどの消毒剤が有効です。
渡航の際は、
渡航先の流行状況を把握し、流行地へ渡航する場合は生水、氷、生の魚介類、生野菜、カットフルーツなどを避けることが重要です。
症状から感染が疑われる場合は、自己判断で下痢止め薬などを飲まずに、ただちに内科・小児科などの医師の診断を受けましょう。
診察時は、次のことを医師に伝えてください。
□症状は?いつから?
・下痢
・腹痛
・便意があるのに出にくい 少ししか出ない(しぶり腹)
・発熱(何度?)
・その他
□下痢がある場合
便の様子は?
・軟らかさは? ・色は? ・血が混じる?
・回数は?
・その他(血の混じり方は? 便の状態の変化は? など)
□渡航歴は?
・いつから?いつまで? ・渡航先は?
□食べたものは?
□まわりの人に同様の症状はありますか?
医師の指示に従い、治療を行います。処方された薬は、症状が緩和しても忘れずに最後まで飲みましょう。
療養中は安静にし、水分補給を心がけてください。また、感染拡大を防ぐため、次のことに気をつけましょう。
◎糞便の処理
・患者の排便後のトイレや水道ノブ、ドアノブをアルコール等で拭き掃除しましょう。
・おむつを使用している場合は、使い捨て手袋等を着用し、消毒液をかけるなど適切に処理をしましょう。
・便で汚れた衣類等は、煮沸や消毒をし、家族と別に洗濯しましょう。
・トイレ掃除やおむつ処理後は、手洗いを必ず行いましょう。
◎手洗い
・手洗いは、手指に付いた菌を除去するために有効です。特に、排便後や食事前は、石けんを使い、流水で正しく手洗いましょう。
→ [
正しい手洗い方法 ]